自然科学 - 一般相対論の数学的準備など
[数式が上手く表示されない場合]
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9.  測地線の方程式

2点 P, Q を通る曲線 C の長さ L

L=PQdt|X2|1/2

と定義する. ここで C は実数 t で径数付けられ, 接ベクトルを X=Xμμ=(dxμ/dt)μ としている. また, 内積を  X2=g(X,X)=gμνXμ Xν  と置いた.

L が停留値をとるとき, 曲線 C は測地線と呼ばれる. L に変分 δ xμ を施し, 測地線の方程式を導出しよう.

δ L=Xμδ xμ|X2|1/2PQPQdtsgn(X2)|X2|1/2δ xμδνμXμ XνX2dXνdt+Γ(0)νρσXρ Xσ

ここで δ xμ=gμνδ xν,Xμ=gμνXν 及び sgn (X2)=X2/|X2| である. こうして

δνμXμ XνX2dXνdt+Γ(0)νρσXρ Xσ=0

を得る.

径数 tX=(ds/dt)T,g(T,T)= const. を満たすように変数変換 t s=s(t) してやると簡単になる:

dTμds+Γ(0)μρσTρ Tσ=0

この s をアフィン径数(アファイン径数, affine parameter)と呼ぶ.

さて, 接ベクトル場 X を自身に沿って微小平行移動させよう.

X=X+λXX ,  |λ|« 1

平坦な時空であれば直線の接ベクトル場は平行移動で不変である. これに倣って曲がった時空における "最もまっすぐな曲線" を, 接ベクトル場が

XX=fX

という条件を満たすときであるとしよう. f はある関数である. このとき X=(1+λ f)X であり, 平行移動後も元の X に比例したままとなる. 上の式を座標基底で表すと

dXμdt+Γ(0)μρσXρ XσgμτTρ,στXρ Xσ=fXμ

となる. 左から Xμ を掛ければ f が求まり,

δνμXμ XνX2dXνdt+Γ(0)νρσXρ XσgμτTρ,στXρ Xσ=0

を得る. このように捩率を持つときは, 長さが最短であるような曲線と, 接ベクトルが常に平行であるような曲線は一致しないことが分かる.

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