自然科学 - 一般相対論の数学的準備など
[数式が上手く表示されない場合]
- 01 - 02 - 03 - 04 - 05 - 06 - 07 - 08 - 09 - 10 - 11 -
< | 05 | >

5.  Lie微分

再び滑らかな曲線を考え, 曲線上の2点 xμ,yμ=xμ+λ Xμ(x),(|λ|« 1) におけるベクトル場 A(x)A(y) の変化率を, 微小平行移動とは違った方法で定義しよう.

今度は y 上のベクトル場 A(y) に等しい x 上のベクトル場 A˜(x) を見つける. ここで "等しい" とは, 関数 f(y) に対して同一の値

A˜(x)f(y(x))=A(y)f(y)

を与えるという意味である.

座標基底を用いれば, 異なる2点における座標変換を考えればよいので

A˜(x)=A(y)|y=x+λ X = xμ(y) yνAν(y)y=x+λ X xμ

こうしてLie微分が

𝔏XA=limλ 01λ xμ(y) yνAν(y)y=x+λ XAμ(x)μ

と定義される. 具体的に見てみると

𝔏XA=limλ 01λ(δνμλν Xμ)(Aν+λ Xρρ Aν)Aμμ =(Xνν AμAνν Xμ)μ

これから 𝔏AX=𝔏XA𝔏A+B=𝔏A+𝔏B𝔏X(fA)=(Xf)A+f𝔏XA𝔏Xf=Xf そして  𝔏fXY=f𝔏XY(Yf)X などの性質を持つことが分かるであろう.

ところで, 関数 f にベクトル場 X,Y を順に作用させると

Yμμ(Xνν f)=Yμ(μ Xν)ν f+Yμ Xνμν f

のようになり, ベクトル場2つの作用は第2項目のためベクトル場とはならない. これを反対称化したものはベクトル場となる. 即ち, 交換子

[X, Y]f=X(Yf)Y(Xf) =(Xνν YμYνν Xμ)μ f

はベクトル場となる. これはLie微分と一致する:

𝔏XY=[X,Y]

特に座標基底に対して 𝔏Xμ=(μ Xν)ν となるので, 双対基底に対しては 𝔏Xdxμ=(ν Xμ)dxν となる. よって双対ベクトル場に対するLie微分

𝔏Xα=(Xνναμ+ανμ Xν)dxμ

を得る.

< | 05 | >
- 01 - 02 - 03 - 04 - 05 - 06 - 07 - 08 - 09 - 10 - 11 -
[一般相対論の数学的準備など] < [自然科学] < [オレ研] < [TOP]