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7. 捩率と曲率
普通の微分は交換可能であるが, 共変微分は一般に可換でない. ベクトル場 X, Y に沿った共変微分の交換子は座標基底で
[∇X,∇Y]=Xμ Yν[∇μ,∇ν]+[X,Y]μ∇μ
のようになり, 普通微分の交換子 [∂μ,∂ν] に対応する [∇μ,∇ν] を見るには
∇X∇Y−∇Y∇X−∇[X,Y]
を調べればよいことになる. 共変微分の性質から, この演算はスカラー場 f とベクトル場 Z に対して異なる結果を与えるので, 次のように異なる記号を用いよう. それぞれ
T(X,Y)f=(∇XY−∇YX−[X,Y])f
R(X,Y)Z=(∇X∇Y−∇Y∇X−∇[X,Y])Z
とする. T は捩率テンソル場(torsion tensor field), R は曲率テンソル場(curvature tensor field)またはRiemann曲率テンソル場, Riemannテンソル場などと呼ばれる. 単なる共変微分の交換子でないこの定義によって T(X,Y)=XiYjT(ei,ej) などのテンソル的性質を与えることが出来るのである.
まず捩率を求めてみよう. X, Y として座標基底を選べば
T(∂μ,∂ν)f=(Γρμν−Γρνμ)∂ρ f
=Tρμν∂ρ f
=Tiμνei f
最後の Tμνi=θρi Tρμν は ωijμ と Γρμν の関係から
Tμνi=2(∂[μθν]i+ωij[μθν]j)
と書ける. ここで添字の角括弧 […|, |…] は, 間に挟まれている添字について完全反対称化を行う事を意味しており, 丸括弧 (…|, |…) は完全対称化を意味する.
次に曲率について見て見よう. R(X,Y)(fZ)=fR(X,Y)Z なので, Z として ∂μ のみ調べれば良いのだが, ei についても計算してみよう.
R(∂μ,∂ν)∂σ=∂ρ· 2(∂[μΓρν]σ+Γρ[μ|λΓλ|ν]σ)
=∂ρ· Rρσμν
R(∂μ,∂ν)ej=ei· 2(∂[μ|ωij|ν]+ωik[μ|ωkj|ν])
=ei· Rijμν
Rρσμν と Rijμν の間には Rijμν=θρi ejσ Rρσμν という関係が成り立つ.
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