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4. 局所慣性系
結論から言うと、(4)式は間違いなのである。局所慣性系においてChristoffel記号はゼロであるが、その微分はゼロとは限らない。しかも局所慣性系に持っていかなくても、実はMaxwell方程式(1)に計量の2回微分、つまり曲率は入ってこないのである。場の強さは Γνρμ=Γρνμ より
Fμν=∇μ Aν−∇ν Aμ=∂μ Aν−∂ν Aμ
と普通の微分で表され、Maxwell方程式には高々計量の1階微分しか現れないのである(ゲージポテンシャルは反変ベクトル場である)。実際に見てみよう。
Jμ=∇ν Fμν
=1−g∂ν(−gFμν)
=1−g∂ν{−ggμαgνβ(∂α Aβ−∂β Aα)}
≅ηνρ∂μ(∂ν Aρ)−ημρ∂ν∂ν Aρ
ここで ≅ は局所慣性系でのみ成り立つ等号を意味する。また、 g=det(gμν) であり、 ημν は1階微分がゼロであるような計量である。こうしてゲージポテンシャルで書いた方程式にも重力相互作用項は現れないことが分かった。
ではなぜ(2)にRicciテンソルが現れたのであろうかと言うと、簡単に言えば現れたように見えるだけであって、Ricciテンソルによる重力の効果は他の項の重力の効果と綺麗に相殺してしまうのである。これも確かめてみよう。まずd'Alembert演算子の項を見ると
∇ν∇ν Aμ≅ημρ∂ν∂ν Aρ−ημρ(∂νΓνρλ)Aλ
となる。スカラー場に対する ∇μ∇μ は局所慣性系で ∂μ∂μ となるが、ベクトル場に対してはそうはならないのである。次に発散の項を見てみよう。
∇ν Aν≅ηνρ∂ν Aρ …(5)
∇μ∇ν Aν≅ηνρ∂μ(∂ν Aρ)−ηνρ(∂μΓνρλ)Aλ …(6)
これらに含まれるChristoffel記号の項がRicciテンソルの項
Rνμ Aν≅ημρηνλ(∂τΓρντ−∂ρΓτντ)Aλ
と相殺するわけである。
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