反発係数と力積
tomocci
平成17年9月21日
高校物理にある反発係数の式はとってつけたように現れる. 勿論現象論的な概念なのでそれは当然のことなのだが, これを保存則などから素朴に考えてみたい.
1. エネルギー損失
簡単のため, 物体1が物体2に追いついて衝突するという状況を考える. つまりそれぞれの速度 v1, v2 の関係は v1>v2 であり, 衝突後の速度 v1′, v2′ は v1′≤ v1, v2′≥ v2, v1′≤ v2′ となるような設定となっている. 物体1が受ける力積の大きさを 𝒥 と置けば, 2体は孤立系なので, 運動量の変化は
m1v1′−m1v1=−𝒥
m2v2′−m2v2=+𝒥 …(1)
となる. これより運動エネルギーの増分 Δ K は
Δ K=12m1v1′2+12m2v2′2−12m1v12+12m2v22
=−𝒥(v1−v2)−𝒥2μ
≤0
ここで μ は換算質量 μ−1=m1−1+m2−1 である. 運動エネルギーの損失の式から得られる力積に関する条件式は
0≤ 𝒥2μ≤ v1−v2
となる. これは任意の正の数 v1−v2 に対して成立するので
𝒥=2μ(v1−v2)ϵ
と置くことが出来る. ϵ は定数とは限らない任意関数で
0≤ ϵ≤ 1 …(2)
の範囲をとる.