3. 解の極限
3.1. 第ゼロ近似
さて, 解(4)はばねの質量が小さいときを再現するであろうか. これは角振動数が θk/m→k/M になる必要があることを意味する. これは条件式(5)から, θ« 1 において
θ≅mM
が得られることから, 通常のばねの運動
φ(ξ,t)=ξφsinkMt+δ−Mgk
を再現する.
3.2. 第1近似と励起モード
m=0 近傍で θ が微小量をとることは角振動数からの要請であり, 条件式(5)にはそうでない場合も存在している. 実際 m=0 近傍は θ=nπ (n=0,1,2,…) 近傍が対応し,
θtanθ=nπ(θ−nπ)+(θ−nπ)2
+nπ3(θ−nπ)3+13(θ−nπ)4+𝒪(θ5)
と展開して n=0 に関しては4次まで, n≥ 1 に関しては2次までとってこれを解くと,
θ0=mM1−m3M , θn≥ 1=nπ+1nπmM−1(nπ)3m2M2
よって角振動数 ωn=θnk/m は
ω0=kM+13m , ωn≥ 1=nπkm+1nπmMkM+…
となる. 基底モードは錘の質量が 13m だけ増えていることに対応し, これは波動が φ(ξ,t)=ξφ(1,t) と近似できるとき, 運動エネルギーが
12Mφ˙(1,t)2+∫01dξ 12mφ˙(ξ,t)2=12M+m3φ˙(1,t)2
となることと対応している. 励起モードに関しては, 確かに m→ 0 のときは存在していない事が分かる. 基底モードとのエネルギー比は M/m のオーダーとなっているので. 通常のばねでは励起モード, つまり節が現れるような振動は実現しにくい.