2. 導出
質量 m , 長さ L の弦を張力 T で張る. この弦を N 等分して離散化し, N 個の微小質点各々に対して運動方程式を立て, 最後に N→∞ の極限をとることにしよう. 因みに, 特に言及せずに ` ≅ ' によって近似操作を行っている.
微小質点の質量を mi≡ m/N , 要素の間隔を li≡ L/(N−1)≅ L/N と置く. i 番目の微小質点の変位を φi(t)=φ(x,t) と書くことにすると, i± 1 番目と i 番目の微小質点の間を結ぶ線分と, 弦の平衡状態におけるそれと成す角度 θi± 1 は
tanθi± 1=1li(φi± 1−φi)
=1li(φ(x± li)−φi)
=±∂φ(x)∂ x+li2∂2φ(x)∂ x2+𝒪(li2).
ここで
∂φ(x)∂ x« 1 …(1)
という条件を課そう. すると
sinθi± 1≅ θi± 1 ≅ tanθi± 1
という近似が成立する. こうして i 番目の微小質点に働く力 Fi は
Fi=Tsinθi−1+Tsinθi+1
≅T(tanθi−1+tanθi+1)
=Tli∂2φ∂ x2
となる. 但し張力は微小質点間を結ぶ線分に平行に働き, 一定であるとした. こうして運動方程式
mi∂2φ∂ t2=Tli∂2φ∂ x2
を得るが, 係数 Tli/mi は N→∞ の極限で
TLm
つまり位相速度 v との間に
v=TLm
という関係があることから, 最終的な波動方程式
∂2φ(x,t)∂ t2=v2∂2φ(x,t)∂ x2, v=TLm …(2)
を得る.