ロケット( 系)には, その進行方向と垂直な方向に往復する光時計が設置されている. 「光時計」とわざわざ名前が付いているが, 単に光線を往復させるだけのことである.
系, 系ともに光の往復時間を求め, その違いを見てみよう. 尚, ロケットの床から天井までの長さを 系, 系共に変わらず であるとする. これは空間の線形独立性の現れであるのだが, この仮定で不整合な部分が生じれば修正すれば良いだけの事だ.
まずロケットに固定されている 系での光線の振る舞いを考えよう. 光線の往復時間 は
である.
一方, 座標系 においては, 光線はロケット進行方向に傾いて進行していく. 三平方の定理を用いて
という式が成り立つ. これを について解けば
を得る. (1), (2) を比較すれば, 系, 系それぞれにおける光線の往復時間 , の関係は
となる事が分かる.
大小関係を見れば
つまり 系では 1 秒間で起こる現象を 系で観測すると, それ以上の時間を掛けていることになる.