[数式が上手く表示されない場合]

質量の合成

H20/4/27

1.  重心系

重心系において, x 軸に沿って2体が正面衝突し, 一体となって静止する場合を考える. 速度はそれぞれ

v1=(v1,0) ,  v2=(v2,0)    v=(0,0)

さて, ちょっとしたトリックとして y 方向に速度 V のLorentz変換を施し, 運動量を求めた後に V 0 にするという事をしよう. わざわざ y 方向に変換するのは, x 方向だと V の1次の項がやや面倒な形になるからである. また, 近似操作は式の簡便さのためであって, 一切の近似や極限操作をしなくとも厳密に求まる.

Lorentz 変換後の速度は, V の1次の微小量だけ残せばそれぞれ,

v1=(v1+𝒪(2),V) ,  v2=(v2+𝒪(2),V)    v=(0,V)

ここで 𝒪(2)V/c の2次以上の項を意味する. 衝突後の質量を M としたとき, 運動量保存則の y -成分は

m1V1v12c2+m2V1v22c2+𝒪(2)=MV + 𝒪(2)

なので, 両辺を V で割って V 0 をとれば

  M=m11v12c2+m21v22c2     …(1)

以上の議論は当然衝突の問題に限らない. もっと広く, 多体系を1つの物体と見なしたとき, 全体の質量は個々の運動物体の質量の和では得られないことを意味する. 運動状態によって質量が "生成" されるのである.

但し, ここで上の v1 , v2 は重心系におけるそれぞれの速度であり, 任意の慣性系における速度ではないことに注意する必要がある.

2.  一般の慣性系

一般の慣性系においてはどうか. まず重心系の速度 v を一般の慣性系における速度 v へと変換しよう.

v=(vx ,  vy)  v=vx+V1+Vvxc2 ,  vy1V2c21+Vvxc2

から

1v2c2=1v2c21V2c2c2(1+Vvxc2)2

これを用いて, 一般の座標系における(1)は

m11v12c2+m21v22c2=11V2c2m11v12c2+m21v22c2 +1c2V·1V2c2m1v11v12c2+m2v21v22c2

右辺は重心系における量なので, 最後の項はゼロとなる. (1)より, 右辺第1項の括弧内は M となる. こうして

m11v12c2+m21v22c2=M1V2c2

という関係が成立する. v は各粒子の速度, V は重心の速度である.

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