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質量 M の質点の周りを半径 r1 だけ離れて, 質量 m のある物体が光速度 c で等速円運動している. このときの遠心力と重力の関係は
mc2r1=GMmr12
となるから, 半径 r1 は
r1=GMc2=rg2
とSchwarzshild半径 rg の1/2となる. が, この r1 は事象の地平面とは無関係である. なぜなら, この位置から動径方向に光速度 c で射出して最遠方 rmax まで達したときのエネルギー保存則は
12mc2−2GMmrg=−GMmrmax
となり, rmax=rg まで飛ばすことができるからだ.
Shwarzshild半径が導出されるという事は, それよりも外側に飛び出せない特別な半径が導出されなければならない. これを踏まえてより一般的な場合を考えよう.
ある位置 r0 から光速度で動径方向に射出して r2 に到達させる. もし事象の地平面が存在するなら, r2≦ r0 なる r0 があるはずである. つまりそれよりも遠方に飛び出すことは出来ないような r0 を見つけ出そうという事だ. エネルギー保存則の式は
E=12mc2−GMmr0=−GMmr2
これより
r2=r01−r0rg
を得る. 束縛条件 E< 0 より r0< rg であるので, 常に r2> r0 となる . つまりいつでも, より遠くに飛ばせるのだ. 従ってNewton重力の範疇では, 投げ上げ速度に上限があろうとも事象の地平面は現れない.
束縛条件 r0< rg からも分かるとおり, rg より内側から投げ上げる物体は重力から逃れられずに再び落下をすることは確かである. が, これは事象の地平面とは何の関係もない. 次元解析から長さの次元 GM/c2 が出るのは当たり前の事であるし, 係数の2が出たところでさほど驚くことではあるまい. Schwarzshild半径と同じ量が出たところで, それはSchwarzshild半径ではないのである.
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