物体に重力のみが働いているとき, その物体の種類と無関係に等加速度 で落下する. 地球表面上における はおよそ 9.8 m/s である. この事を (3) と (6) を用いて考察してみよう.
慣性質量 , 重力質量 の物体 A が重力 を受け, ある加速度 で運動する. 運動方程式は
よって A の加速度は
となるが, 落体の法則は であることを主張する. 即ち
これは次のように書き換えると分かり易いかもしれない.
つまり重力質量と慣性質量の比は物質の種類と無関係に一定なのである. これは, 単位を適当に定義すれば, 重力質量と慣性質量を同一視することが出来るという結論に達する. これは等価原理と呼ばれる.
単位を適当に選び, と定義しよう. もはや重力質量と慣性質量の区別は無く, 単に質量と呼ぶことにする. (7) より, 重力の比例定数は と定まる. まとめると, 質量 の物体に働く重力 は
質量 の物体に力 が働いて加速度 で運動する時の運動方程式は
となる. ここで質量の単位を kg, 力の単位を N (Newton) とすれば,
と定義出来る. こうして, 我々が普段目にする形式が得られるのである.
面白いことに,両者の導出は力の合成則が重要な役割を担っている事が分かる. また, 運動の第2法則は, 加速度と力が比例する事だけで十分であり, 質量に反比例する事は導出されるものである事も興味深い.