ジャンボ宝くじで当たる確率

H23/6/13

注意:Internet Explorer 8 の場合, 描画に20秒程度かかるので, 我慢すること.

ジャンボ宝くじは現在前後賞併せて3億円という高額の当籤金額である。常識的に考えて「富くじで儲かる」ことは決してないのだが、「当たっている人がいる」ことは事実であり、「買わなければ当たらない」のも事実である。

そこで本論では、ジャンボ宝くじで当籤する確率を定量的に示し、「買ったら当たるのかどうか」「これでも買いたいかどうか」「何のために買うのか」よく自覚した上でそれぞれ購入していただきたい。

イントロダクション

当せん金付証票法第五条

当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額(加算型当せん金付証票にあつては、その額に加算金(第二条第二項の加算金をいう。以下同じ。)の額を加えた額)をこえてはならない。

によれば、発売総額の 50 % 以下が当籤金として充てられるとのことである。

つまりみんなで 300 円ずつ出し合って、半分は運営側に渡り、もう半分を、ほんの一握りの人間に配分するという仕組みだ。

さてその配分であるが、自分の手元にくる確率は当然知りたいことであろう。いや、あまり知りたくないかもしれないが。

ということで実際に求めてみよう。

確率

計算の前提

該当ページは消えてしまったが(何故残しておかないのだろうか…)、みずほ銀行のドリームジャンボ宝くじページのトピックにあった数値:

  当籤金 本数 金額小計
1等
¥200,000,000
27本
¥5,400,000,000
1等の前後賞
¥50,000,000
54本
¥2,700,000,000
1等の組違い賞
¥100,000
2,673本
¥267,300,000
2等
¥100,000,000
27本
¥2,700,000,000
3等
¥5,000,000
270本
¥1,350,000,000
4等
¥10,000
81,000本
¥810,000,000
5等
¥3,000
2,700,000本
¥8,100,000,000
6等
¥300
27,000,000本
¥8,100,000,000
ハッピードリーム賞
¥1,000,000
10,800本
¥10,800,000,000
合計  
29,794,851本
¥40,227,300,000

これらおよび当籤金の配分率 49.66 % (こういう数値も消えてしまった…) から、くじの発行枚数は 270,000,000 枚 (配分率 : 49.6633...%) と思われる。

確率計算の前提として

を考える。3番目の項目は、10枚つまり3,000円分購入するに際して3,000円以下の当籤を当たりと見なしても仕方がないからである。29,700,000本、16,200,000,000円の当籤は潔く外れとする。

1万円以上当たる確率

以上の前提のもとで、購入1回当たりの確率は

  本数 確率
当たり
94,851 本
0.35075 %
はずれ
269,905,149 本
99.64925 %

という結果を得る。確率計算の根拠は、次の節で解説する。

さて、この低確率を懲りずに何度も買い続けるとしよう。ずっと外れ続けて初めて当たる確率は、以下の通りだ。

  確率   確率
1回目
0.35075 %
11回目
3.79124 %
2回目
0.70026 %
12回目
4.12869 %
3回目
1.04855 %
13回目
4.46495 %
4回目
1.39562 %
14回目
4.80004 %
5回目
1.74147 %
15回目
5.13395 %
6回目
2.08610 %
16回目
5.46669 %
7回目
2.42953 %
17回目
5.79826 %
8回目
2.77176 %
18回目
6.12866 %
9回目
3.11278 %
19回目
6.45791 %
10回目
3.45261 %
20回目
6.78601 %

これをグラフにすると…

1万円以上当たる確率

このように20回買い続ければ、1万円以上当たる確率は 7 % に近い値となる。6万円出して 7%弱だ。この数値を高いと見るか低いと見るかは自由だ。

100万円以上当たる確率

ちなみに100万円以上当たる確率のグラフは以下の通り。(目盛り感覚が中途半端なのはご愛敬…)

100万円以上当たる確率

宝くじは「夢を買う」ものだ。毎回買い続ければ、きっと何かが当たる。少なくとも誰かが必ず当たっているのだから、いつかはそれが自分かもしれない。

数式

計算するのは

ときの当籤確率である。外れくじは $N-n$ 本あるので、外れる確率 $q$ は

\[ q = \frac{{}_{N-n}\mbox{C}_{x}}{{}_{N}\mbox{C}_{x}} \]

ここで組み合わせの記号

\[ {}_{a}\mbox{C}_{b} = \frac{a!}{(a-b)!\ b!} \]

を用いた。従って、これを $k$ 回買って当たる確率 $P_k$ は

\[ P_k = 1-q^k = 1-\left( \frac{{}_{N-n}\mbox{C}_{x}}{{}_{N}\mbox{C}_{x}} \right)^k \]

となる。

近似

さて、本題から外れるが、今回のジャンボ宝くじのような場合 $n/N\ll 1$ 、もっと言ってしまえば $n/N$ 自体が無視できるくらい小さな値である。従って当然 $(n/N)^2 \sim 0$ としても十分な近似になる。従って

\begin{eqnarray*} \frac{{}_{N-n}\mbox{C}_{x}}{{}_{N}\mbox{C}_{x}} & = & \frac{(N-n)(N-n-1)\cdots (N-n-x+1)}{N(N-1)\cdots (N-x+1)}\\ & = & \frac{(1-\frac{n}{N})\cdots (1-\frac{n+x-1}{N})}{(1-\frac{1}{N})\cdots (1-\frac{x-1}{N})}\\ & \simeq & \left(1-\frac{xn+\frac{1}{2}x(x-1)}{N}\right)\left(1+\frac{\frac{1}{2}x(x-1)}{N}\right)\\ & \simeq & 1-\frac{xn}{N} \end{eqnarray*}

つまり当たる確率は

\[ \frac{xn}{N} \]

となる。これは余り面白くない結果で、$N$ 枚中 $n$ 枚が当たりで、1回当たりの当籤確率 $n/N$ を $x$ 回繰り返すので $xn/N$ になる、と言っているだけである。