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ジャンボ宝くじは現在前後賞併せて3億円という高額の当籤金額である。常識的に考えて「富くじで儲かる」ことは決してないのだが、「当たっている人がいる」ことは事実であり、「買わなければ当たらない」のも事実である。
そこで本論では、ジャンボ宝くじで当籤する確率を定量的に示し、「買ったら当たるのかどうか」「これでも買いたいかどうか」「何のために買うのか」よく自覚した上でそれぞれ購入していただきたい。
当せん金付証票法第五条
当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額(加算型当せん金付証票にあつては、その額に加算金(第二条第二項の加算金をいう。以下同じ。)の額を加えた額)をこえてはならない。
によれば、発売総額の 50 % 以下が当籤金として充てられるとのことである。
つまりみんなで 300 円ずつ出し合って、半分は運営側に渡り、もう半分を、ほんの一握りの人間に配分するという仕組みだ。
さてその配分であるが、自分の手元にくる確率は当然知りたいことであろう。いや、あまり知りたくないかもしれないが。
ということで実際に求めてみよう。
該当ページは消えてしまったが(何故残しておかないのだろうか…)、みずほ銀行のドリームジャンボ宝くじページのトピックにあった数値:
当籤金 | 本数 | 金額小計 | |
---|---|---|---|
1等 | ¥200,000,000 |
27本 |
¥5,400,000,000 |
1等の前後賞 | ¥50,000,000 |
54本 |
¥2,700,000,000 |
1等の組違い賞 | ¥100,000 |
2,673本 |
¥267,300,000 |
2等 | ¥100,000,000 |
27本 |
¥2,700,000,000 |
3等 | ¥5,000,000 |
270本 |
¥1,350,000,000 |
4等 | ¥10,000 |
81,000本 |
¥810,000,000 |
5等 | ¥3,000 |
2,700,000本 |
¥8,100,000,000 |
6等 | ¥300 |
27,000,000本 |
¥8,100,000,000 |
ハッピードリーム賞 | ¥1,000,000 |
10,800本 |
¥10,800,000,000 |
合計 | 29,794,851本 |
¥40,227,300,000 |
これらおよび当籤金の配分率 49.66 % (こういう数値も消えてしまった…) から、くじの発行枚数は 270,000,000 枚 (配分率 : 49.6633...%) と思われる。
確率計算の前提として
を考える。3番目の項目は、10枚つまり3,000円分購入するに際して3,000円以下の当籤を当たりと見なしても仕方がないからである。29,700,000本、16,200,000,000円の当籤は潔く外れとする。
以上の前提のもとで、購入1回当たりの確率は
本数 | 確率 | |
---|---|---|
当たり | 94,851 本 |
0.35075 % |
はずれ | 269,905,149 本 |
99.64925 % |
という結果を得る。確率計算の根拠は、次の節で解説する。
さて、この低確率を懲りずに何度も買い続けるとしよう。ずっと外れ続けて初めて当たる確率は、以下の通りだ。
確率 | 確率 | ||
---|---|---|---|
1回目 | 0.35075 % |
11回目 | 3.79124 % |
2回目 | 0.70026 % |
12回目 | 4.12869 % |
3回目 | 1.04855 % |
13回目 | 4.46495 % |
4回目 | 1.39562 % |
14回目 | 4.80004 % |
5回目 | 1.74147 % |
15回目 | 5.13395 % |
6回目 | 2.08610 % |
16回目 | 5.46669 % |
7回目 | 2.42953 % |
17回目 | 5.79826 % |
8回目 | 2.77176 % |
18回目 | 6.12866 % |
9回目 | 3.11278 % |
19回目 | 6.45791 % |
10回目 | 3.45261 % |
20回目 | 6.78601 % |
これをグラフにすると…
このように20回買い続ければ、1万円以上当たる確率は 7 % に近い値となる。6万円出して 7%弱だ。この数値を高いと見るか低いと見るかは自由だ。
ちなみに100万円以上当たる確率のグラフは以下の通り。(目盛り感覚が中途半端なのはご愛敬…)
宝くじは「夢を買う」ものだ。毎回買い続ければ、きっと何かが当たる。少なくとも誰かが必ず当たっているのだから、いつかはそれが自分かもしれない。
計算するのは
ときの当籤確率である。外れくじは $N-n$ 本あるので、外れる確率 $q$ は
\[ q = \frac{{}_{N-n}\mbox{C}_{x}}{{}_{N}\mbox{C}_{x}} \]
ここで組み合わせの記号
\[ {}_{a}\mbox{C}_{b} = \frac{a!}{(a-b)!\ b!} \]
を用いた。従って、これを $k$ 回買って当たる確率 $P_k$ は
\[ P_k = 1-q^k = 1-\left( \frac{{}_{N-n}\mbox{C}_{x}}{{}_{N}\mbox{C}_{x}} \right)^k \]
となる。
さて、本題から外れるが、今回のジャンボ宝くじのような場合 $n/N\ll 1$ 、もっと言ってしまえば $n/N$ 自体が無視できるくらい小さな値である。従って当然 $(n/N)^2 \sim 0$ としても十分な近似になる。従って
\begin{eqnarray*} \frac{{}_{N-n}\mbox{C}_{x}}{{}_{N}\mbox{C}_{x}} & = & \frac{(N-n)(N-n-1)\cdots (N-n-x+1)}{N(N-1)\cdots (N-x+1)}\\ & = & \frac{(1-\frac{n}{N})\cdots (1-\frac{n+x-1}{N})}{(1-\frac{1}{N})\cdots (1-\frac{x-1}{N})}\\ & \simeq & \left(1-\frac{xn+\frac{1}{2}x(x-1)}{N}\right)\left(1+\frac{\frac{1}{2}x(x-1)}{N}\right)\\ & \simeq & 1-\frac{xn}{N} \end{eqnarray*}
つまり当たる確率は
\[ \frac{xn}{N} \]
となる。これは余り面白くない結果で、$N$ 枚中 $n$ 枚が当たりで、1回当たりの当籤確率 $n/N$ を $x$ 回繰り返すので $xn/N$ になる、と言っているだけである。