放射能とデマと

平成23年8月16日

8月13日から15日にかけて東北旅行に行ってきた。下車した駅は福島県の郡山、三春、そして岩手県の平泉。旅行記については後日書くことにするが(最近の傾向では書かないかもしれない)、その前に福島第一原発の事故に関して述べたい。

大正12年 (1923年) に起きた関東大震災の後に「朝鮮人が井戸に毒を入れた!」というデマが流れた。そのデマを真に受けて多くの朝鮮人が殺害されてしまった。

誰がどの食品を食べようが自由ではあるが、「福島県産の農作物は放射能汚染で危険」というデマのもとに福島県産を拒否するのであれば、それは「朝鮮人が井戸に毒を!」と同じである。福島の農畜産業を、デマを理由に殺すのだから。

低線量放射線の被曝による健康被害についてはネットで検索をすれば直ぐに見つかるので、私があえてここで説明する必要はないだろう。要は、仮に肉や野菜などに放射性物質が付着していたとしても、その程度なら大丈夫ということだ。

いたずらに福島産を避ける行為は、福島の農家の人々の首を絞めていることに他ならない。健康被害が起こらない程度の放射線被曝というリスクを回避するために、他人の首を絞めることなど言語道断だ。

危険だ!と騒ぐ人々は、どのくらい危険なのかを調べない。科学的なデータよりも、危険だ!と言ってくれる人を探し、より危険な情報、より不安をあおる情報を入手しようとする。本人たちはそれがデマであろうとも「想定」される最悪の事態から逃れることによって安心するかもしれないが、それによる周りの被害などは全く考えない。

恐ろしいのは放射線被曝ではなく、放射線被曝を恐れるあまり、福島の観光が、産業が、全てが落ち込んでしまうことだ。デマ情報で朝鮮人を殺した事件と何ら変わりないではないか。

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