映画ノウイング

平成21年7月20日

ゲリヲンを観た翌週あたりに、映画「ノウイング」を観に行ったのだが、皆さんには是非とも映画館に足を運ばないようにお願いしたい。今回はどうしてもネタバレをせずにはいられないので、どうしても劇場に行きたい場合は読まないでいただきたい。

50年前に小学校に埋められたタイムカプセル。当時の子供たちが現代に向けて描いた絵が入っているのだが、一通だけびっしりと数字が敷き詰められていた。ニコラスケイジ扮する天体物理学者の主人公が、偶然この数字が事故の日付と犠牲者数を表していることに気づく。主人公は予言に書かれた事故を阻止せんと奮闘する。

…というのが予告編。飛行機が墜落するシーン、地下鉄で列車が脱線しホームに突っ込みシーンなど圧巻である。最新の映像技術を駆使した、壮大なミステリー映画…

…ミステリー映画?ホラー映画?SF映画?何これ、全部入り?

謎の数字を調べるために、ニコラスが google で検索するのが心に染みた。この映画の見所は、飛行機の墜落と列車事故、そしてラストシーンの地球が火に飲まれるシーンだけだ。つまり予告編だけで十分ということだ。

この映画は、最初は謎の予言にまつわるミステリーかと思いきや、謎の人影につきまとわれるホラーものになり、実はその人影は宇宙人で、最後は宇宙船に子供たちを載せて別の惑星に連れて行ってしまうSFもので終わる。

太陽フレアに飲み込まれてしまう地球に、宇宙人は50年以上も前から信号を送り、その信号が聞こえるものだけを救うという段取りらしい。主人公の周りでは、その息子と友達の女の子(50年前に謎の数字を書いた少女の孫)の二人が選ばれ、ついでにウサギを2羽連れて行くという。「ノアの方舟」「アダムとエヴァ」辺りを彷彿させる最後だ。

男の子と女の子を宇宙船に乗せるシーンは特筆すべきだ。ごっつい体格の宇宙人数人に囲まれて「あ~~~」というお決まりのBGM(違うかも知れないがそんなイメージ)で上昇していく。「フランダースの犬」の最終回のあの感じ。このシーンで何もかもが台無しになった。

結局予言に何の意味があったのか、つまり、信号が聞こえるだけでいいのなら、事故の予言をする必要などなかったはずだ。何のメッセージもない予言に主人公と観客は振り回され、結局「選ばれた人間」は連れて行かれ、地球は火の海になる。

これは歴史に残る駄目映画だ。映像の綺麗さだけを観たい人以外は、観ない方がよい。

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