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1999年5月31日。「風呂と老人」

ある日の銭湯での出来事。いつものように髪を洗っていたら湯船のほうからなにやら奇妙な声がしてきた。

「えーわー、えーわー。あーえーわー。」

初めは何のことか良く分からなかったのだが、どうやら老人が歓喜の声をあげているらしい。極楽極楽。

「あーえーわー。こりゃーえーわー。」

ふふふ。相当気持ちがいいのか、だんだん調子が出てきたみたいだぞ。

えーわー。こりゃ。せばすちゃん。

え? ...せ、せばすちゃん? って、言ったの? 今。セバスチャン。セバスちゃん? いや確かにセバスチャンだったよな。誰? セバスチャンって誰だ? おじいちゃんとどういう関係なんだ?

「えーわー。ひぇっくしょい。っちくしょうめコノヤロ。」

いいから教えてくれ。湯船からあがるな。体を洗う前に僕に教えるんだ。いったい誰なんだ。セバスチャンってどこの誰なんだ。

「へぇっくしょぉぉい。っこんちくしょう。」

早く!

「んー♪ んんーん♪」

いいから早く! 気になって髭も剃れないぞ。おじいちゃん、その歌も何の歌なんだ?





...結局セバスチャンの意味が分からないまま、その老人は消えてしまった。






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